あなたが消えた夜にを読んで-No.3
こんにちは。
今回は中村文則さんの「あなたが消えた夜に」の感想を書いていきます!
あなたが消えた夜に。
この言葉から全てが始まったのですね。
犯人のとてつもない悲しさや絶望を感じます。
謎の多い連続殺人。
関係者が明らかになるにつれて、それぞれの性格や人間関係が浮かび上がってきます。
断片的にみると、皆いわゆる「悪い人」と言われるような人たち。
人を殺してしまった人や実の娘と肉体関係を持った父親、それを知っていながら放置する母親。他人を洗脳した医師もいました。
でも、これらの人々について更に多くを知るにつれて、これらの人々の最期を知るにつれて、嫌いになれなくなりました。
結局、皆自分を傷つけている。傷つけたいと思っている。そう考えてしまいます。
小説の中に出てくる
「人間の感情は複雑で、一本調子ではなくて、相反する感情が同罪するものだから」
という言葉。
その通りだと思います。
犯人は深い愛故に人を殺すことを決意した。でも、人を殺したくないと叫ぶ自分もいた。その矛盾の中で狂ってしまった。
主人公の警官は無意識の中で友人を利用した。犯罪を犯させ、見殺しにした。本人はそんなことするつもりがなかったけれど、無意識の自分が身体を動かしてしまっていた。それに気づいてしまい、過去から抜け出せずにいる。
そんな、矛盾の中に狂っていく人が沢山いる。
自分を理解することの難しさ、無意識の怖さを実感した物語でした。